故 幸宣佳先生との思い出


幸先生と班女

先生にお稽古をつけていただいていた時のこと。

「班女」を打ち終わったら、先生が張り扇で私のことをこっちに来いと呼びます。

どのようなお言葉をいただけるのかと、緊張して私は先生の方に歩み寄りました。

先生の前に正座で、頂くお言葉を待っておりました。

先生は、顔を近づけ、

「おい、清一、女知っているか?」

「お、お、女ですか???」

当時の私は小学生。

先生からどのようなお言葉をいただけるか、とても緊張していた私でしたが、心の中ではかなりずっこけた状態。

しかし、師匠に

「何言っているんですか!」

ってツッコミができる時代ではありません。

「いいえ、知りません」

と真顔で答えた私。

すると先生は、

「女をしればこの曲がわかる」

とだけおっしゃり、お稽古は終了しました。

お稽古が終わった後の私の心というか、頭の中は、なんのことやらっていう感じだったもの、懐かしい思い出…